クールなアイドルの熱烈アプローチ

通話が切れたスマホを暫くの間無言で見ていた勇人は右手を口元に当て、先程の会話を思い出していた。

人見知りの陽菜がマスコミに狙われるリスクを犯してまで名前も知らない人と会おうとしているのが勇人はどうしても引っ掛かった。

何かあるんじゃないかと第六感が働いていた。

暫く話してから少し恥ずかしそうに挨拶して通話を切った陽菜を想い、勇人は天井を仰ぎ見た。

“あんまり干渉したら逆に嫌われるよー？”

あまりにも陽菜に夢中になっている勇人にある日、拓也が言った言葉だった。
分かってはいるが、心配で仕方ない。

いつまた大堂が陽菜に刃を向け、マスコミにあることないこと書かれてしまうかもしれない。
その事で陽菜がどれだけ傷付くのか……陽菜の笑顔を誰よりも願いながら、勇人は目を閉じた。