クールなアイドルの熱烈アプローチ
運ばれてきた料理は色鮮やかで、見た目も味も楽しめるものだった。
食事を終えたらカフェオレとコーヒーが運ばれ、陽菜のカフェオレには可愛いパンダのラテアートがされていて飲むのがもったいないくらいだった。

「あの、越名さん。
昨日会った人達とお話ししたんですけど……」

「ん?」

「詳しくは話せないんですが、私……いえ、私達、大堂さんのやってきた事を公表するために行動しようと思うんです」

真剣な陽菜の眼差しに勇人は眉を潜め、手に持っていたカップをソーサーの上に置いた。

「君が危険にさらされるとしても?」

「はい」

「大堂やマスコミに嫌な思いをさせられることになっても?」

「はい」

「……誰かに、何か言われた?」

「え……?」

聞かれたこと一つ一つにしっかり返事をし頷いたが、最後の質問に陽菜は固まった。

「昨日会ったっていう、名前も知らない新人モデル……その子に何か言われた?」

「あ……えっと、彼女は私と大堂さんのことに巻き込まれたことがあって……今回のことに悲しんでいて、私達みたいな人を増やさないために大堂さんを……」

「それが大堂の差し金でないという保証は?」

「ほ、しょう……?」

「一般人を上手いこと巻き込んで君をスキャンダルに追いやったくらいだ。
誰かを使って君に近づき、何かを企むことを思いついてもおかしくはない」

「そ、んな……こと……」

ない、とは言いきれず陽菜は下を向いた。
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