クールなアイドルの熱烈アプローチ
話し合いの当日、Kaiser専用の音楽スタジオの一室を貸してもらえることになったのだが、勇人が同席してることで英理が落ち着きなくおどおどしていて陽菜も何故かハラハラしていた。

「ごめんなさい。
越名さんが秋村さんの事で話を聞きたいみたいだって言ってからずっとこんな調子で……」

怯えた様子で勇人をチラチラ見ていた英理が前回と同じようにいきなり勇人に、ごめんなさいっ!と頭を下げたが勇人は表情一つ変えずにじっと英理を見ていた。

「俺に謝罪しても意味はない。
それより、話を進めていきたいのだが……」

恐縮した様子で英理は勇人に今までの経緯とその後自分がどんな行動をとってきたのかを話し、言葉が足りなかった部分はヘアメイクさんがフォローしたりと説明していった。

話を聞き終え、勇人は真っ直ぐな眼差しで英理を見る。
勇人は英理の話に嘘偽りはなさそうだと判断したのか、お互いの為に協力しあうことを許可してくれて陽菜はホッとした。

「貴女にも話したいことがあった」

「私に?」

突然話をふられたヘアメイクさんが目を丸くすると、勇人は頭を下げた。

「彼女を必ず護ると約束したのに護れなかった。
すまなかった」

「え!?あ、頭を上げてくださいっ!
越名さんはちゃんと、秋村さんを護ってるじゃないですか!!」

陽菜が強い意思をもって行動しようとしていること、スキャンダルに負けずに笑顔でいられていること、全てが勇人のおかげでちゃんと陽菜を護っている証拠だとヘアメイクさんが力説し、隣に座っていた陽菜も力強く頷いていた。

勇人は陽菜のその様子に、ありがとう。と微笑んだ。
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