クールなアイドルの熱烈アプローチ
舞台は中世ヨーロッパのような世界。

一般市民のどこにでもあるような服装をした陽菜は様々な動物と戯れていた。
穏やかな風が吹き、たまに靡くその髪は光に当たると輝いてさえ見えた。

青い鳥が一通の封筒を運んできて陽菜の元へと届ける。

不思議に思って陽菜が封を開けてみると、そこから眩い光が解き放たれ、陽菜は思わず目を強く瞑った。



光がおさまり恐る恐る目を開いた陽菜は、自らの服が先程までとは違い高級なドレスに変わっていたことに目を瞬かせた。

周りを見ると自分がいる場所も先程までとは違い、動物達がいない代わりに豪華な絨毯や装飾品があった。

ーーここは宮廷?

陽菜が呆然としていると、その手を不意に手に取った人物がいた。

陽菜は驚き目を丸くした。
自分の手を取り楽しげにエスコートしながら踊るのは自国の王子に扮する拓也。

拓也のダンスが終わり手が離れると、グイッと後ろから強く腰を引かれる。
陽菜が慌てて後ろを振り返ると、そこには隣国の王子に扮する勇人がいた。

先程の拓也の眼差しとダンスとは違い、真剣な眼差しで見つめられながら激しいステップで踊る。

やがてメロディーが止み、どちらからともなく足を止め、いつの間にか背中に回されていた手を離された。

マントを翻し数歩歩いた勇人が不意に立ち止まり振り返った。
その隣に拓也が並び二人同時にそっと陽菜に手を差し出し、ゆっくりと口を開いた。

「「さあ、どちらか選んで。
運命の君よーー」」
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