クールなアイドルの熱烈アプローチ
“俺の言うことを聞かないからだよ。
これでもう、君は終わりだ”

朝陽が接触した、ロケ現場で偶然動画を撮っていて奇跡的に大堂の小さな囁きが入っていたと言っていた人物からもらった動画がスクリーンでリピート再生されながら大音量で流れ出した。

『口の動きもセリフに合ってるし?専門家の人に確認してもらえばどこも偽造してないのは証明してもらえるんじゃない?』

「な……バカな……」

『絶対にバレないとでも思ってた?残念でした。
犯した罪は必ず自分に返ってくるもんなんだよ』

「俺は……人気モデルだぞ……?
こんなことしてただで済むとでも……」

『“この業界にいられなくしてやる”って、あんたの上等文句だっけ?
そもそも俺、一般人だからこの業界に存在してないし、あんたの脅迫なんて怖くもなんともないんだよねー』

「っ……隠れてないで出てこいっ!
卑怯だぞっ!!」

「卑怯って、あなたが言えることですか!?」

取り乱し始めた大堂の声に応えるように叫びながらホールの入り口をバンッと開いた英理が外からの光と共にたくさんの人達と入ってきた。

英理は陽菜を連れてきた後逃げるようにホールを飛び出したが、実は今まで大堂に関わったせいで引退や休養に追い込まれたモデル仲間達を連れて、ここぞという時のために待機していたのだった。
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