クールなアイドルの熱烈アプローチ
「お前……裏切るのかっ!」

「裏切ったのは大堂さんじゃないですかっ!!
ここにいる全員、みんな大堂さんにされたことを世間に公表する準備と覚悟があります……もう言いなりにはなりませんっ!」

全員の剣幕に大堂は思わず後退り必死に思考を巡らせているのか目が忙しなく泳いでいた。
暫しの間の後に何かを思いついたのか、冷や汗を流しながら不敵に笑いだした。

「ははっ……お前らが何を言ったって誰も信じたりしないさ……世間で被害妄想だと思われて終わ……」

「各方面での目撃者がいれば、妄想ではないと分かりますよね?」

大堂の言葉を遮り入ってきたのはヘアメイクさんを始めとしたたくさんのスタッフの人達。
控室で、衣装部屋で、スタジオで、どこででも仕事をしている人達なので、大堂の言動はある意味誰よりも知っていると言っても過言ではなかった。

「第三者として私達も証言できます。
嫌がって迷惑している人達に無理矢理迫っていたことを……!」

「っ……!!」

ついに言葉をなくした大堂は余程焦っているのかさらに視線をさ迷わせる。
陽菜は両手をぎゅっと握り締めて大堂の様子を見ていたが、大堂は徐にスマホを取り出して大きな声で言い放った。

「お前ら全員が行動を起こす前に、俺が先にマスコミに情報を流してやる……っ!
大人数で嘘の情報で脅迫されたってな……この世界は先に記事になった方が有利なんだよっ!!」
< 166 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop