クールなアイドルの熱烈アプローチ
『ちょっと待って!?俺、陽菜ちゃんに告白するって聞いたんだけど、なにいろいろすっ飛ばしてプロポーズしてるの!?』

拓也の戸惑ったような声に会場はどっと笑いが起こった。

『しかも陽菜ちゃんオッケーしちゃったし……。
俺も知らなかったけど、勇人って結構溺愛体質みたいだから陽菜ちゃんもう逃げられないんじゃない?』

えー!!見えなーい!!
陽菜ちゃんいいなー!!

と拓也の声にあわせて会場中からそれぞれ声が聞こえてきた。

『逃がすつもりはないし、逃げられることもしない』

ようやく陽菜から体を離して立ち上がった勇人がマイク越しに反論するが、拓也は意地悪く笑った。

『分からないよー?あんまり溺愛しすぎると鬱陶しく思われるかもよ?』

それはないのでは……。と陽菜は思うが、拓也はニヤニヤとした顔のまま脅していて勇人はぐっと眉を寄せていた。

『ま、でも二人の結婚の約束はみんなが証人になってやってね!静かに見守ってあげようねー!!』

拓也の声に一斉にペンライトを振り、はーい!!と全員が返事をする。
陽菜がそのペンライトの輝きに見惚れていると拓也が、陽菜ちゃん。と話しかけてきた。

『せっかくだからなんかコメントちょうだいよ。
どうだった?勇人のプロポーズ』

マイクを渡されあたふたしながら受け取ると、陽菜は何度も深呼吸して気持ちを落ち着かせ、ゆっくり口を開いた。

『嬉しかったです。
えっと、越名さんに名前を呼ばれたのも初めてだったので……驚きました』

『え!?勇人、陽菜ちゃんの名前呼んだことなかったの!?溺愛体質のヘタレ!?』

陽菜の言葉に大袈裟なほど驚く拓也と一緒に会場中から今日二度目となる驚きと笑いが混じった歓声が会場中に響き渡った。
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