クールなアイドルの熱烈アプローチ
勇人の公開プロポーズはすぐにネットニュースやテレビのトップニュースで流れ、独占的に映像と写真を入手した雑誌社は創業以来の売上に嬉々として喜んでいるらしい。
そんな話をとあるカフェで聞かされた陽菜は複雑な心境だった。

「連日ずーっとこのニュースばかりだよね。
どう？婚約してみて」

「恥ずかしくて、もう無理……」

「……だ、そうですけど、どうします？
勇人兄さん」

「すぐ気にならなくなると思うが……。
俺はそもそも気にならない」

目の前にあるコーヒーを一口飲む勇人をほんの少し恨めしく見つめる陽菜だが、そんな陽菜の視線を感じた勇人は笑顔を向けた。

「諦めなよ陽菜姉。
勇人兄さんは陽菜姉が何をしても、何を言っても、どんな顔をしても可愛くて仕方ないらしいから」

「うぅ……」

恥ずかしそうにもう必要ないメニューで顔を隠すが、その仕草にも可愛くて仕方ないと言うように勇人は目を細めている。
陽菜を無事に手に入れられて嬉しそうな勇人に、朝陽は苦笑していた。

公開プロポーズと言う大胆なことをされてからスキャンダルやスクープを追われることを恐れる必要がなくなった陽菜は、勇人と外出する時は変装をすることがなくなった。

ファンの人に声をかけられることも多々あるが、ほとんどの人は二人を温かく見守ってくれている。
今も変装することなくオープンカフェで寛いでいるが、勝手に写真を撮られるということがなく平和そのものだった。
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