クールなアイドルの熱烈アプローチ

「お休み、ですか？」

「ああ……と言っても一ヶ月は先になるが……。
だから行こう、新婚旅行」

そう囁かれた陽菜はその丸い目を溢れんばかりに大きく見開き固まった。
陽菜？と何度か呼びかけられて我に返ると、陽菜は慌ててぶんぶんと頭を横に振った。

「そ、そんな……ただでさえ勇人さん忙しいのに旅行なんて……お休みの日はゆっくりしていてほしいですし……」

「だから新婚旅行にまだ行ってないこと、気付いてたのに黙ってた？」

「や、そんなわけでは……ない、こともなかったんです、けど……」

どんどん小声になり、さらに顔が俯いていく陽菜の顎に勇人が手をかけるとそっと上を向かされた。
否応なしに直視することになる勇人の眼差しは、真っ直ぐ陽菜に向いていた。

「俺は、行きたい」

「え……？」

「陽菜と新婚旅行、俺は行きたいけど」

陽菜は？と聞かれて陽菜はぎゅっと勇人の服を掴むと、私も、行きたいです……。と本当に小さな声で言った。