クールなアイドルの熱烈アプローチ
「ど、どうでしょう……？
似合いますか……？」

恥ずかしさに頬を染めながら見上げてくる陽菜。
新妻がこんな格好でこんな仕草をしてきて平静でいられる男がいたら見てみたい。と勇人は必死に理性をかき集めていた。

「てる……」

「え？」

「似合ってる……」

「あ、ありがとうございますっ！」

褒めると途端に嬉しそうに笑顔になる陽菜を直視しないように然り気無く視線を反らすと、朝陽に無理矢理買わされたんですけど、これにしてよかったです。と聞こえて、もう一度陽菜に視線を移した。

「朝陽君が選んだのか？」

「はい。私はワンピースタイプにしようと思ったんですけど、朝陽が勇人さんは絶対こっちが好みだって言うので……」

「……」

好みかどうかと言われれば好みじゃないこともないが、朝陽が悪知恵を働かせながら陽菜にこの水着を勧める様子が目に浮かぶようだった。

ーーやってくれるな……。

勇人は着ていたパーカーを脱いで陽菜に着せるとジップをしっかり上まで上げた。

「ゆ、勇人さん？」

陽菜の肩に勇人が額を乗せて小さく、俺以外の前でその格好は禁止。と呟くと陽菜は戸惑いながらも頷いた。
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