クールなアイドルの熱烈アプローチ
「た、助けてくれてありがとうございました。
何を言ってるか分からなくて、困ってました」

「ナンパ」

「……ナンパ？」

「一緒にボートに乗りに行こうと誘われていた」

ええっ！？と陽菜はようやく男性が言っていたことを理解し、同時にすごく慌てた。

「勇人さん、私、ナンパされたの初めてですっ！」

「……朝陽君の話では外に出る度にナンパされていたと聞いたが……」

そんなわけないですよー。と苦笑した陽菜を見て勇人は小さく息をはいていた。

「鈍感」

「え？」

「初めて朝陽君と会った時、彼がずっと陽菜を護っていたと言っていた意味がよく分かった」

今まで誰かに話しかけられても極度の人見知りであるがゆえにパニックになって、ナンパされてることにも気付かず逃げ出していた陽菜は本当に身に覚えがない。

そんな陽菜の手を取りそっとその指先に口付けた勇人は上目遣いに陽菜を見ると、陽菜は真っ赤になり慌ててしまった。

「ゆ、ゆ、勇人さん！？」

「触られてたから、消毒」

「触られたと言っても、手を捕まれたくらいで……」

「それでも、俺以外の男が陽菜に触れるのは嫌だから」

「……な、なんか、ヤキモチ妬いてくれてるみたいですね？」

小さく呟いたその言葉に勇人は陽菜を真っ直ぐ見つめると、いつも嫉妬してる。と言い放った。
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