クールなアイドルの熱烈アプローチ
「お、おかえり勇人。陽菜ちゃんは?」

「寝室で休ませてる」

「じゃ、俺らもそろそろ帰るか。
朝陽君、行ける?」

「はーい、もう行けます」

使った食器の後片付けをしてくれていたらしい朝陽は拓也の呼び掛けに答えるとすぐにリビングに戻ってきて荷物を手に取った。

「勇人兄さん、陽菜姉はどんなに体調悪くて食欲無くしてもアイスだけは食べるんで。
小まめに食べさせてやってください」

「分かった」

「じゃ、よろしくお願いします」

ニッと笑った朝陽はそのまま拓也と帰っていった。

静かになって片付けもする必要のなくなったリビングを後にした勇人はまた寝室へと戻ると、陽菜がどこか安心した顔をして勇人を見ていた。

「大丈夫か?」

「はい……あの、勇人さん、ごめんなさい」

「ん?」

「朝陽達、帰っちゃったんですよね?
せっかく楽しく話してたのに……」

申し訳なさそうに眉を下げて言う陽菜に勇人は苦笑する。
自分がしんどい時でも人を気遣うことを忘れないお人好しな陽菜の頬にさっきと同じようにそっと触れた。
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