クールなアイドルの熱烈アプローチ
「熱が上がるかもしれないから、今日はこのままゆっくりしておこう」

「……本当に大丈夫ですよ?
微熱程度ですから……」

陽菜はそう言うが、夜に熱が上がることは良くあることなので勇人は頑として陽菜がベッドから出ることを許さなかった。



二人で作ったルールそのニ、一緒のベッドで眠る。
は体調が悪い時も有効だ。

風邪か分からないが勇人にうつしたら困ると言う陽菜を、一人で寝かせる方が心配だと言いくるめた勇人は一緒のベッドで横になり、マスク変わりのつもりなのか顔半分を毛布で隠している陽菜の頭を何度も撫でていた。

「朝陽君は……」

「え?」

「朝陽君は一目で陽菜の体調が悪いと見抜いていた」

「それは……長いこと一緒にいる姉弟ですから。
私だって、朝陽の体調が悪いと分かりま……分からないかも?」

と微妙な答えを返してきた。

「朝陽は分かりにくいんですよ。
何かあっても隠すのは得意で、高熱が出ても誰にも気付かせなかったくらいです。
その点、私は分かりやすいみたいですよ」

どこか不満そうに陽菜が言うと、勇人はそっと陽菜と額を合わせた。

「まだ熱は上がってないな」

「もう……心配しすぎですよ」

「ルールを追加しよう。
体調が悪かったらすぐに言うこと、分かった?」

「……はい」

陽菜の返事に勇人は小さく微笑み額にそっと口付けた。
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