クールなアイドルの熱烈アプローチ
「陽菜姉ー、生きてるー?」

堀原から連絡をもらった朝陽は夜、陽菜の看病のためにマンションにやってきた。
陽菜は、いらっしゃーい。と声をかけながら玄関にやって来る。

「あれ、わりと元気じゃん」

「うん、帰ってきて一眠りしたら元気になったみたい」

「なーんだ、見舞いにこれ買ってきたんだけど、いらなかった?」

言いながら朝陽が陽菜の好物、パリパリトロ~リチョコレートバニラアイスを持っていた袋から出して見せると陽菜は、いるっ!ありがとうっ!と笑顔になった。

「朝陽は何か食べてきた?作ろうか?」

「いや、今日は家で生姜焼きらしいから……って、なにこれ」

リビングに入って朝陽はテーブルの上に置かれた大量のミニトマトに目を丸くした。
陽菜はスプーンを持ってきてウキウキしながらダイニングの椅子に座り、アイスのカップの蓋を開けている。

「なんかね、お腹すいてるんだけど何も食べる気がしなくて……でもトマトなら食べれそうだったからたくさん買ってみたの」

「……陽菜姉、トマト好きだったっけ?」

「そんなに好きじゃなかったんだけど、急に食べたくなって……」

おいしー!と幸せそうにアイスを頬張る陽菜を見て、あることに気付いた朝陽は唖然としながら、マジか……うわぁ、ついに俺の野望が全部叶うのか……!?と呟いていたのを陽菜は不思議そうに見つめていた。
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