クールなアイドルの熱烈アプローチ
ロケの後の陽菜の仕事を見学がてら見ていたが、眠くて仕方がないのか準備中や休憩中はあくびを堪えている様子が目立った。

「あの……陽菜さん、大分お疲れじゃないですか？」

陽菜と仲がいいスタッフが、陽菜の様子を離れた場所で見ている堀原と勇人の元へやってくると小声で話しだした。
その言葉に堀原は何かを考える様子を見せる。

「確かに、最近疲れやすいと言っていたな。
移動中もよく寝ているし」

その言葉に勇人は同意するように頷く。
陽菜の最近のスケジュールを確認させてもらったが、やり手と言われる堀原なだけあってメディアへの露出が増えているのにも関わらず無理なスケジュールということでもなかった。

「知らない間に疲れがたまっていたのか？」

「一度ゆっくり休ませてみてもいいかもしれないな……」

二人がその結論に達しようとした時、そのスタッフが何か思い付いたようにパンッと手を叩いた。

「そうだ！この前いい温泉宿があるって聞いたんです。
疲労回復にもよく効くって言ってたので、リフレッシュも兼ねて行ってみてはどうですか？」

「宿か……どうします？
陽菜はこの日なら予定を開けれそうですが」

堀原に指定された日にちはライブで移動する前日だった。

一泊して、陽菜を事務所に送ってからライブ先に移動中する……勇人にはハードなスケジュールになりそうだが、それで陽菜が元気になるならと勇人は一瞬考えるとすぐにＯＫを出した。
スタッフに聞いた宿も丁度一部屋空いていてすぐに予約が取れた。

ーー元気になるだろうか……？

笑顔で撮影をこなす陽菜を、勇人は遠くから見つめていた。
< 217 / 242 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop