クールなアイドルの熱烈アプローチ
てちてちと一生懸命手と足を動かしてこちらに向かってくる。
やがて床に座って待っていたその膝にポンッと手を置き、あー。と言葉にならない声を上げて屈託のない笑顔を向ける小さな赤ん坊。

堪らずその小さな体を抱き上げて……。

「あーー!!めちゃくちゃ可愛い!!
俺の野望ーーっ!!」

ぎゅーっと赤ん坊を抱きしめると、慣れているのか赤ちゃんはキャッキャッと笑いながら朝陽の顔をペタペタ触っている。
ほぼ毎日見る光景に陽菜は苦笑しながら勇人と拓也にコーヒーを出す。

「朝陽君、ほぼ毎日来てるんだって?
よほど好きなんだねー」

「何故か名前じゃなくて“野望”って呼んでるけどな」

「す、すみません……」

言いながら三人は朝陽を見ると、楽しそうに遊んでいる様子に目を細める。

「陽菜姉、今日こそは連れて帰っていい?」

「ダメっていつも言ってるでしょ?」

「えー、離れたくないー、せめて泊まっていっていいー?」

と、かなり溺愛している朝陽に用意したばかりのミルクを渡すと喜んで飲ませている。
ほんの少し、朝陽の今後が心配になってしまうが大丈夫だろうか……?と陽菜は首を傾げた。
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