クールなアイドルの熱烈アプローチ
「すぐに君だと分かったけど、緊張してたようだったから」

横目でチラッと見つめられ、陽菜は赤面症で赤くなっているであろう顔を隠すために慌てて帽子を掴んでグイッと下げた。

「わ、私、すごく人見知りで……！
初めて会う人にはいつもああで……」

「うん。でも、今日は三回目だ」

緊張しなくていいと、そう言外に言われたのが分かったが緊張しないなんてとても無理だった。
なんせ相手はあのKaiserの越名勇人なのだから……。

「えっと、あの、変装、バレバレですか…？」

帽子を掴んだまま、陽菜も横目に勇人を見やる。
勇人は暫し考えるように視線を宙にさ迷わせると、いや。と小さく呟いた。

「少なくとも拓也は気付いてなかったようだから、君の変装は完璧だと思う」

「じゃあ、どうし……」

「陽菜っ！！」

どうして？と続くはずだった言葉に被さるように誰かに呼ばれて、陽菜は声のする方へと顔を向けた。
すると、公園の入り口からこちらに駆け寄ってくる人物に陽菜は目を丸くした。
< 24 / 242 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop