クールなアイドルの熱烈アプローチ
「俺本当はさ、陽菜姉をアイドルにしてみたかったんだけど……まあ、性格的に無理じゃん?
だから陽菜姉の子供に夢を託すことにしたんだよね」

「ねー」

「ねー」

と朝陽の言葉に同調するように二人のまだ幼い子供が語尾を真似して笑った。

「……陽菜ちゃん」

「……はい……」

「前から思ってたんだけど、朝陽君って陽菜ちゃん大好きだよね……」

「……有り難いですね」

「……ちゃんとした姉弟だよね?
実は血が繋がってなくて、陽菜ちゃんと結婚したいくらい大好きでしたってオチじゃなく……」

未だに顔をひきつらせたまま拓也が言うので、陽菜はある書類を見せた。

「れっきとした姉弟です。
証拠のDNA鑑定書です」

「……なんでそんなもの持ってるのさ……」

「昔、なんとなくで両親が鑑定したみたいです」

なんとなくで鑑定するものなのかな……?と拓也はさらに顔をひきつらせる。
すると、今まで黙っていた勇人が小さく呟く。

「……俺は、娘と結婚するのが朝陽君の野望だと思っていたが……」

「落ち着け勇人、叔父と姪は結婚できないから」

「……その子供とか?」

「朝陽、何歳になるんですか……」

余程混乱しているのか三人で額を突き合わせて話し合う。
そんな三人を放って、朝陽は幼い二人にKaiserの歌を歌わせている。

まだ舌ったらずだが音程がしっかり合っている五歳と、リズムに乗って体を揺らしている二歳。
朝陽の野望はもしかしたら叶うのかもしれないと堀原はある意味戦々恐々としていた。
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