クールなアイドルの熱烈アプローチ
「陽菜ちゃん、目線こっちに頂戴!」

「ライト、もう少し明るくしてー!」

「右手を顔に当てて。そう、そのまま……」

言われた通りの格好とポーズをとり、そのまま動かないこと数秒。
カシャカシャカシャッと何度もシャッター音が鳴り、カメラマンが撮影したばかりの画像を確認した。

「……はい、撮影終了です!お疲れ様でしたー!!」

「お疲れ様でした!」

終了の声が上がり、陽菜は安堵の息を吐いた。

今日は今春のトレンドファッションの撮影で、いろいろな服を着てメイクも変えてと、とても疲れたけれど終わった今は達成感でいっぱいだった。

「頑張ったな陽菜。
今日はいつもより堂々としていた」

「あ、ありがとうございます。
堀原(ほりはら)さん」

マネージャーの堀原から差し出された大きいタオルを体に巻き付け、水が入ったボトルを手に取り一口飲む。
撮影中ずっと緊張していたのと強力なライトを当てられ続けていた暑さから喉がカラカラだったから、冷たい水が体の内側から染み渡っていき生き返るようだった。
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