クールなアイドルの熱烈アプローチ
「堀原さんっ。
私、ちゃんと笑ってました?喋れてましたか?」

「まぁ、なんとかな」

「なんとかって……やっぱり失敗してたんですか!?
だから生放送なんて無理って言ったのにーっ」

先程までKaiserとの生放送に出演していた陽菜。
自然に見えるように笑みを浮かべるのは上出来だったが、思っていたよりも司会者から陽菜への質問が多かった。

不自然にならないよう受け答えしていたその様は端から見れば堂々としていたが、陽菜の性格を知り尽くしている堀原やその場に朝陽がいようものなら陽菜が如何にテンパって頭が真っ白になっていたのかなど一目瞭然だった。

「私、何を話してたのか記憶にないです……」

「そうか。
確か事務所で社長が録画しているはずだから見せて思い出させてやろう」

「や、やめてくださいっ!見たくないですっ!!」

陽菜は自分の出ている雑誌や写真などは出来る限り見ないようにしている。
理由はただ恥ずかしいからなのだけれど、そう言うと毎回堀原が鋭い目付きで見下ろしてくるのだ。

「そんなことではいつまでも上達しないぞ」

「うう……」

案の定、堀原に厳しく諭されて陽菜は肩を落とした。

きっとこれは事務所でさっきの映像を見ながら反省会だ……。と気落ちしながらトボトボと歩く。
陽菜に割り当てられた控室に入り、さっきまでの緊張を和らげようと水を飲んでいると、不意に堀原が口を開いた。
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