クールなアイドルの熱烈アプローチ

「そう言えば、今度テレビのインタビューのオファーが……」

「あ、堀原さん！お久しぶりです！」

話の途中で挨拶された堀原が振り返り、陽菜も視線を向けると次に撮影に入る予定だと聞いていた大堂恭矢(だいどう　きょうや)が近づいてきていた。

「お久しぶりです、大堂さん。
随分早いですね？今日の撮影の入りは２時間後だったのでは？」

「その前にやるはずだった外のロケが雨で中止になったんですよー。
で、今日のスタジオ撮影、俺の前は陽菜ちゃんだったの思い出して急いできたんですけど……陽菜ちゃんどこですか？」

大堂がキョロキョロとスタジオ内を見回すが、目当ての人物である陽菜は何故かどこにも見当たらなかった。

「あー、また陽菜ちゃんに会えなかったか……。
堀原さんいたから今日こそは会えると思ったのに」

ガックリと肩を落とす大堂のそのすぐ後ろ。
黒渕メガネで黒髪ロングヘアーのカツラを被って変装した陽菜が大堂の視界に入らないように素早く後ろへと移動し、ぎこちない笑みを浮かべながらさらにそろそろと後ずさっているのを堀原に呆れた顔で見られていた。