クールなアイドルの熱烈アプローチ
聞くところによると、先日勇人が陽菜の家に来た時ひ朝陽が陽菜に内緒でとこっそり連絡先を交換して以来、たまに連絡しあっていたらしい。
そして、今日の生放送終了後にも電話で話していたようだった。

朝陽の提案で家に呼んだらしいが、勇人はおいそれと行っていいものかと戸惑いもあったそうだ。
そんな勇人の様子に気付いた拓也がまだ通話中のスマホを勝手に取り上げて朝陽と話すとすぐに意気投合し、終いには自分も行きたいと言いだして、それに朝陽は簡単にオッケーをだして今に至るという。

「わかった？陽菜姉」

半ば呆然としながら説明を受けた陽菜は現実逃避したくて仕方なかった。

あのトップアイドルの二人がこの家にいて、あろうことか我が家のように寛いでいらっしゃる。
長いような短い人生の中でここまで衝撃を受けることはもうこの先ないだろう。と陽菜は再び遠い目をしながら思っていた。

「それにしても驚いたなー。
この前堀原さんと一緒にいたあの子が陽菜ちゃんの変装だったなんて……全然気付かなかった。
なあ、勇人？」

変装グッズを外した陽菜をまじまじと見てから勇人に視線を移した拓也に勇人は表情を変えることなく、気付いてた。と一言言い放った。

「え？気付いてたって、あの時に？勇人が？」

「すぐに分かったが？」

「ええっ！？勇人さん、あの地味で存在感皆無の格好の陽菜姉に気付いたの！？」

「どんな女優もアイドルもモデルも、何度会っても覚えないお前が？マジで？」

ーー朝陽、実の姉を目の前にして酷くないかな……？

陽菜がじとりと朝陽を見るが、朝陽も拓也も心底驚いた口調のわりに顔がニヤニヤしていて見ていてとても怪しかった。
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