クールなアイドルの熱烈アプローチ
『それで、手帳は見つかったのか?』
「いえ……テレビ局の人も探してくれたようなんですけど、見つかりませんでした」
今Kaiserは全国五大都市ライブツアーの真っ最中でリハーサルや移動があって自由な時間はあまりないはずなのに、勇人はほぼ毎日陽菜に連絡してくれていた。
お互いの近況を話しているうちに先日控室でなくなった手帳の話になり、見つからなかったことを話すと陽菜はがっくりと肩を落とした。
『他になくなったものは?』
「それが、手帳だけなんです。
お気に入りだったのでなんとか見つけたいんですけど……」
『売ってないのか?』
「手作りなんです。
ハンドメイド雑誌の撮影の時にキットを貰って教わりながら作ったので……。
その雑誌も、もう売ってないので作れません」
陽菜が残念そうに呟くと勇人は暫しの間無言でいて、やがて言葉を選ぶように話だした。
『……たまに控室の貴重品を盗まれたと聞くことがあるから、気を付けて』
「はい、ありがとうございます」
心配してくれているのが声でも分かり、陽菜は手帳のことを一瞬忘れて嬉しくなる。
そこから陽菜は勇人からライブ先で食べた物、地元の人に聞いた観光スポットの話をして通話を切る。
切れた電話を見つめて、陽菜はまた明日からも頑張ろうと思えた。
「いえ……テレビ局の人も探してくれたようなんですけど、見つかりませんでした」
今Kaiserは全国五大都市ライブツアーの真っ最中でリハーサルや移動があって自由な時間はあまりないはずなのに、勇人はほぼ毎日陽菜に連絡してくれていた。
お互いの近況を話しているうちに先日控室でなくなった手帳の話になり、見つからなかったことを話すと陽菜はがっくりと肩を落とした。
『他になくなったものは?』
「それが、手帳だけなんです。
お気に入りだったのでなんとか見つけたいんですけど……」
『売ってないのか?』
「手作りなんです。
ハンドメイド雑誌の撮影の時にキットを貰って教わりながら作ったので……。
その雑誌も、もう売ってないので作れません」
陽菜が残念そうに呟くと勇人は暫しの間無言でいて、やがて言葉を選ぶように話だした。
『……たまに控室の貴重品を盗まれたと聞くことがあるから、気を付けて』
「はい、ありがとうございます」
心配してくれているのが声でも分かり、陽菜は手帳のことを一瞬忘れて嬉しくなる。
そこから陽菜は勇人からライブ先で食べた物、地元の人に聞いた観光スポットの話をして通話を切る。
切れた電話を見つめて、陽菜はまた明日からも頑張ろうと思えた。