クールなアイドルの熱烈アプローチ
「ええっ!?Kaiserとの対談ですか!?」

事務所に呼ばれ伝えられたのはある雑誌の特別企画、“意外な組み合わせの対談特集”という仕事のオファーだった。

「私、対談なんて初めてで……何を話したらいいか……」

「普段通りでいいだろう。
ありきたりな対談は向こうは何度もやってるんだ。お前しか引き出せない話でもしてこい」

「そんな……私しか引き出せない話なんて、PV撮影の話しかないですよー。
それも宣伝で連日一緒にテレビ出演した時に話つくしましたし……」

上手く対談出来るかどうかの不安から、久々に陽菜は小動物のような落ち着きのなさを見せ始めておどおどしだしてしまった。

「他にもあるだろ。
あの越名勇人と付き合ってるんだから、いくらでも話題はあるはずだ」

「は……付き……え、ええっ!?
付き合ってませんよ!?何てこと言い出すんですかっ!!」

陽菜は顔から火が出たように真っ赤になり、目の前にあった机を両手でバシバシ叩きながら抗議した。

「隠すな。二人がお互い好意を持っているのは見てたらわかる。
マネージャーである俺にまで変に隠すと何かあったときに対処できなくなるぞ」

堀原はまるで、自分はなんでも知っている。と言うように言ってくるが、ここは陽菜も譲れない。
真っ直ぐに堀原を見た陽菜は、はっきりと伝えるためにゆっくり口を開いた。

「本当に私と越名さんは付き合っていませんし、そんなお話をしたこともありません」

「……本当に?」

「はい」

「植物園でデートしたのにか?」

「デッ……違いますっ!!
違わないけど、違います!!」

植物園には行ったけどデートではない。
デートは好きあってる人同士がするものだ。

そう思うと陽菜は何故かチクリと胸が痛むのを感じたが気づかないふりをして、まずは堀原に情報提供したであろう朝陽をどうとっちめるか考えを巡らせていた。
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