【本編完】最恐No. 1はそこにいる
「盃を。」
「「はい!」」
二人は盃を持ちながら前に出した。
「酒を。」
「はい。」
俺は、松原の盃に酒を注ぐ。
松原は盃を元に戻す。
次に東堂の盃に酒を注ぐ。
東堂も盃を戻す。
二人とも、飲む準備は出来た。
俺は視線を感じ、
じいちゃんの方を少し向く。
お前が言ってやれ。
と言うようにじいちゃんは頷く。
俺も頷き返し、二人に顔を向き直す。
二人とも俺の目をじっと見ている。
「飲め。」
俺がそう言うと、
二人とも一気に飲んだ。
そして、
懐紙を出す。
それで盃を包み、懐へしまう。
一連の動作が終わるやいなや、
静まり返っていた場が、
この日一番大きな歓声に包まれた。
そして徐々に、
宴会の席に戻っていった。
歓声や、
二人へのみんなの言葉が落ち着き、
二人が俺に近寄ってきた。
「「親分!
これからよろしくお願いします!」」
二人していい笑顔で言う。
「あぁ、よろしくな。」
そう言う俺も、思わず頬が緩んだ。
それからは完全に宴会が始まった。
今回俺の両脇には、
松原と東堂が座っていた。