ずっと・・・
なんて、文句を言ったところで彼は離しそうにない。
連れられるがままでいるしかないんだ。
そう諦めた時、ようやく一つの店の前で止まった。
普通に居酒屋だった。
「楓さんが有紗の話したって言ったから、急遽集まることになった」
「……楓さん?」
なんの脈絡もなくそう言われても、全然話しが見えない。
そう思いながらも、彼がその店に入っていくからついていく。
「お疲れ様ー」
個室に入ると、そこにいたのは何かと助けてくれた先輩、柿本さんと結城さんだった。
「あー、楓さんって先輩のことか」
「はーい、柿本楓です」
おどけたように先輩が言う。
先輩も仕事の時とは雰囲気が違う。
かなり、結城さんに心を許しているのだろう。
「でも、何で先輩と結城さんがいるんですか?」
「佑介、何も話さずに来たのか?」
「案の定というか、女に捕まっていたから」
「え?帰りも?大丈夫だった?」
「あ、はい。なんとか……本人が出てきたので何も言えなくなっていましたし」