ずっと・・・
あ、そういうことか。
理事長相手なんだから、並みの人じゃダメな訳か。
「そうだとしても、もう少し美人さんに頼んだらどうですか?頭いい人なら、ここにはたくさんいますし」
「あんた、何言ってんだ?」
急に不機嫌そうな声になって、私を睨む。
そうかと思えば、私に向かって彼の手が伸びてきた。
逃げようとする前に、彼に眼鏡を取られた。
「ちょっ、何するんですかっ」
顔を隠すように背けながら抗議をする。
それを許さないとでも言うように、顎を掴まれて顔を上げられる。
思った以上に、彼の顔が近い。
「何で隠すのか分かんねぇ。この学校でも、美人の方だろ?」
すぐ傍でそんなことを言われて、顔が赤くなる。
でも、赤くなっている場合ではない。
誰も気づかないはずだったのに。
メイクを地味にして、髪も結んで眼鏡をかければ、学校用の自分が完成する。
地味で勉強ばかりしているような私が。