ずっと・・・
彼の袖を引っ張り、教室を出た。
歩きながら袖を引っ張っていた手は繋がれ、すれ違う人に注目を浴びている。
なんとか空き教室に逃げ込んだ時には、疲れ切っていた。
注目を浴びたのと緊張とで、疲れてしまった。
「有紗、その敬語やめろ」
名前を呼ばれるだけでもドキッとするのに、手を繋いだとかありえない。
「そんなにすぐには慣れません」
「恋人で敬語とかおかしいから」
「そうは言われても……」
今まで付き合ったことなんてないから、何が普通で何がおかしいのかなんて分からない。
「あと、名前も。佑介って呼べよ」
それは、ハードルが高すぎる。
門脇くんと呼んだこともないのに、いきなり名前で呼べとか。
やっぱり、私じゃない方が良かったんじゃないだろうか。
順応出来る子の方が良かった気がする。
そんなことを考えていると、急に彼が髪に触れた。
「やっぱり、綺麗だよな」
そんなことを呟いた。