ずっと・・・
「だから、それは困る」
「だったら、聞かないで下さい」
そうきっぱり言うと、黙ってしまった。
やっぱり、意味が分からない。
私に固執する理由が。
今まで話したことがないのに、いきなり私の目の前に現れて付き合えとか。
どう考えてもおかしい。
まぁ、それを聞いたところでまともな答えなんて期待は出来ないけど。
「……そうとう深い傷なんだ。
分かった、もう聞かない。だから、隣からいなくなることは許さない」
そう言ったかと思えば、ぎゅっと私の手を握った。
「大丈夫。オレの隣にいれば、何も怖いことはないから」
抱き寄せるようにして、優しい言葉をかけてくる。
そんなに優しくしないで。
勘違いしそうになってしまう。
所詮、偽りの関係なのに。
立場が違うと分かっているはずなのに。
それ以上を求めてしまいそうになる。
震えていた手なんて、気のせいにして。
好きだったなんて気持ち、思い出してはいけないのに。