ずっと・・・
3rd*偽れない
「おー……」
それが、彼の第一声だった。
そして、上から下までくまなく見られる。
イヤらしい目付きとかではないからさほど気にならないけど、くまなく見ている。
昨日言われた通り、学校が休みの今日、素の私は彼と逢っている。
この姿で家族と実彩子以外と逢うのは、本当に嫌だった。
学校の姿で行ってやろうかと考えたけど、今朝ラインでだめ押しのように「素で来い」ときた。
なぜそこまで拘るのか分からないけど、ここまで来て偽りの姿で行ったら身ぐるみをはがされかねない。
観念して待ち合わせ場所へ向かうと、もう彼が来ていた。
私でさえ、10分前に着いたのに、その上をいくなんて。
それもまた、好かれる要因となるだろう。
待っていた彼に恐る恐る声をかけると、冒頭のセリフだ。
「すげぇ、化けるもんだな。改めて見ると、知らないと気づかねぇわ」
散々見られたあとに、そんなことを言う。
驚きはしているけど、やっぱり私を知っているんだ。