ずっと・・・



「とりあえず、歩こう。男がたまってきた」

「え?」


不機嫌そうに言うから何かと思えば、いつの間にか周りに男が増えてきた。

話しかけてはこないけど、明らかに私を見ていた。

隣に男がいても相変わらずか。

呆れていると、彼が私の手を取り歩き出した。

手を繋いで歩けばカップルに見えるだろう。

それでも、すれ違う男の視線は変わらなかった。


「美人でいいけど、1人にはさせられないな。心配になる」


そんなことを彼は呟いた。

でも、それは彼にも言えることだと思う。

すれ違う視線は男だけのものじゃない。

彼を見る女の視線もある。

それが、積極的かそうじゃないかの違いだけだと思う。

でも彼は、彼女だけを大切にしてくれるのだろう。

言葉からそう感じる。

彼女になる人は羨ましい。

こうやって一緒にいればいるほど、届かないと思い知るだけなのに。


「でさ、デートに誘ったはいいけど、どこへ行けばいいのか分かんなくて。ベタに水族館とかにしてみたけど、良かった?」




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