ずっと・・・



ある理由から、私は高校の時からオンの時は地味な姿でいた。

みんなとは真逆に、地味に見えるようにメイクを施していた。

いかに目立たないかを追求していた。

幼馴染みである実彩子は、その理由も全てを知っていた。

そして、同じ会社に入り、それと同時に私と同じく地味にし始めた。

ただ、お互い地味なのはオンの時だけ。

オフになれば、素顔を晒して歩いている。

でも、会社の人や知り合いに逢っても絶対に気づかれない。

普通に店とかですれ違ったりしているけど、誰1人気づかない。

それだけ、オンとオフで顔が違った。

実彩子は、それを楽しんでいた。

実際、同じ会社の男性に声をかけられたこともあった。

私たちだと気づかずに、だ。

正体をバラすつもりのない私たちは、適当にあしらった。

一緒に遊ぶ訳もないし、付き合うことだってありえないから。

次の日に会社で逢っても、声をかけてきた男性は私たちに興味を示さない。

そんな状況で、今まで誰1人としてバレなかった。




< 4 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop