ずっと・・・



今よりもっと酷く、狼狽えて怯えて動揺して。

仕事が手につかない状況だったに違いない。


「本当にごめんね」

「イヤ、謝ることないよ。たぶん、いつ知っても動揺はするし。確かに本社勤務なんだから、一緒に仕事するなんて思わないし」

「でも、大丈夫?これから、当分顔合わせないといけないよ?」


そう、始まったばかりの案件だ。

これからなのだから、まだ何回も顔を合わせないといけない。


「大丈夫……とは言えないけど、なんとかなるでしょう。2人きりな訳じゃないし」

「それもそうだよね。何もないとは思うけど、アタシもいるし」


こういう時、事情を知っている人がいると心強い。

何かあった時には、フォローしてもらえるし。

そればかり期待していてもいけないんだけど。


「ありがとう。
向こうだって、今更私に用はないだろうし。大丈夫だと思うよ」


用があったのは、学生の時だけ。

見合いがなくなった今、私に用はない。




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