私 死神見習いになりました!


『303号室 木崎 誠太 』

Niina「ここですね…。」

病室の名札は彼だけ。

個室…なのかな?

Niina「さすがにここで扉を開けるのはまずいので、使いますよ。」

優衣「えっ、?」

Niina「さぁ、早く掴まってください」

優衣「あ、ぁ。はいっ」

Niinaに少ししがみつくと周りがポワァッと光った。

優衣「っ!」

眩しい! そう思って目を瞑った。

次に目を開けたら、病室の中だった。

優衣「えっ!病室?」

Niina「病室以外にどこがあるんです?」

Niinaは、呆れたような馬鹿にしたような感じで私に言う。

うん…。少し慣れたけど…。

なんかむかつく。

なにあの、( -ω- `)フッ←みたいな顔!
しょーがないじゃん。こっちは初めてなんだから。

「……っ。……!……や!……だ!」

1人でブツブツ言ってると、病室の奥から泣き声が聞こえた。

「点滴しないと!良くならないよ?」

「大丈夫!痛くないから!ねっ?」

どうやら点滴が嫌で駄々をこねているようだ。

Niina「彼が木崎 誠太。本人です。」

優衣「ふーん…。この駄々っ子が…。」




誠太「点滴なんかしたって意味がない!!どうせ死ぬんだから!!」

母「誠太!!またそんなこと言って!いい加減にしなさい!!」


看護師「お、お母さん落ち着いて…!誠太くんも落ち着こう?」

誠太「いーーやーーーだーーーー!!!!」

母「誠太!!!」


お、おぉ……。これはなかなかの修羅場ですな……。

優衣「彼、なんかヤバい病気なの?」

Niina「……さぁ。興味ないので見てません。」

優衣「……あっそう……。」

冷たいなぁ…もう。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

看護師「ふぅ…。また、しばらくしたら点滴替えに来ますね」

母「はい…。お手数お掛けしました……。」

暴れる誠太くんを抑えて、何とか点滴を繋いだ看護師は少し疲れた表情をして出て行った。


そんな看護師に対して、さらに疲れた表情をした母親が頭を深々と下げている。

母「誠太…。気持ち良さそうに寝て……こっちがどんなにしんどいかも知らないくせに……。」

母親が誠太の頬を撫でながら、ボソボソと話し出した。

母「あんたのせいで…どれだけの人に頭下げてると思ってるの…。私は、寝れてないのに…なんであんたは、気持ち良さそうに寝てるの……。」


この母親……。

誠太くんの事嫌いなの…?

母親「あんたのせいで……全部!無茶苦茶よ!」

母親はそう叫ぶと、誠太くんの首に手をかける。

優衣「っ!!ダメ!やめて!」

殺そうとしてる!!

私が慌てて止めようとすると、Niinaが腕を掴んで私を止めた。

Niina「彼はまだ死なない。」

優衣「っ!でも!」

Niina「言ったでしょう?彼は、交通事故で死ぬの。今、ここでは、まだ……死なない。」

優衣「っ!」

交通事故で……死ぬ……。

そっか……。そうだった……。

でも……。

分かってても不安で仕方がない。

もう一度、彼ら親子の方を見る。

母親は手を震わせながら誠太くんの首に手をかけている。

母「……っ。くっ……。……つ……」


「おい!何してる!!」

母「っ!!あなた!」

病室のドアが開いたと思ったら、サラリーマンみたいな男がて慌てた様で入ってきた。

会話的に、誠太くんの父親だろう。

父「何してるんだ!!」

母「うぅ……。だって……もう限界なのよ!なんで……うぅ……なんでこうなったのよ!!この子さえ居なくなれば……!!」

父「おい!誠太の前でなんてこと言うんだ!」

母「この子はなにも分からないわ!!なにも……分かってないのよ!!」

父「っ!とにかく、場所を変えよう……。」

母「うぅ……ひっく……うぅ……」

第2ラウンドの修羅場がおわり、誠太くんの両親は出て行った。


「何も分かってない……か。」


優衣「!?!?」
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