さきちゃんは勘違いされやすい
僕、水上あきには1つ上に姉がいる。

「姉さんおはよう」

「あき、おはよう」

今日もクールで美人なこの人が僕の姉だ。
子供の頃から頭が良く、他の子供とは明らかに雰囲気が違っていた。姉に話しかけられない人が僕に言伝してくることも多く、弟としては凄い姉を持って鼻が高かった。

「今日の挨拶頑張ってね」

僕は去年姉さんもやったように在校生代表として新入生に挨拶を頼まれた。何と言おうか悩んでいた僕に姉さんがアドバイスしてくれたので満足のいく挨拶に仕上がっている。流石姉さんだ。

「うん。姉さんが一緒に考えてくれたから大丈夫だよ。姉さんも新入生代表の挨拶頑張ってね」

「ええ。ありがとう」

姉さんには新入生代表の挨拶を引き受けたらしい。
口数が少なく一人で静かな環境にいることを好む姉さんが挨拶を口実にしつこく話しかけられないかが心配だ。

休み時間にこっそり見た窓際の席で本を読む姿は本当に絵になっていた。周りの人達も姉さんの邪魔をしないように話しかけたりしなかったし、周りで騒ぐ事もしていなかった。高校には違う中学の奴らも来るから話しかけられて煩わしい思いをしないといいけど・・・と考えたところで番犬のような幼馴染の存在を思い出し、あいつがいるなら大丈夫かと安心して学校へ行く準備を再開した。
< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop