ひとりだと思っていた君へ
9

階段の踊り場でハローくんが渋谷含めた数人の男子とたむろっていると「三波」と階段下から生徒指導の横山が呼んだ。

ハローくん含め、生徒みんなから嫌味でろくでもない奴と嫌われているような教師で、何かにつけハローくんを目の敵にしていて、ことあるごとに文句をつけてくる。

というのも今年度から赴任してきた横山が、制服を着て登校しないハローくんを注意をして、彼に殴られて意識を失うということがあったからだ。

「いや、純白の白が似合うな。本当に」とニヤニヤ階段を昇ってくる。

どうにか停学処分で免れ、制服も着るようになったというのに、その恨みを忘れまいというように横山はハローくんを見かける度に声をかけてくる。

もちろんハローくんが声をかけられて不快に思わないはずがない。

思い切り無視を決め込むと、それが気に食わないと横山が「お前、聞いてんのか」と詰め寄る。
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