ひとりだと思っていた君へ
12
ハローくんは数日お見舞いに来てくれた。
その日も『今から行くね』とハローくんからメールが届いて、待ち遠しい気持ちでいっぱいになった。
扉がノックされ返事をすると、須長くんが顔を覗かせたものだから驚いた。
口を利くことも出来なくなっていたから。
「入って大丈夫?」
「あ、うん。どうぞ」
思いがけない訪問に慌てて身を起こし、手ぐしで髪を整える。
脇に置いていた椅子に座るよう促し、
「美織ちゃんから連絡あって。迷ったんだけど、ごめん、心配で来ちゃった」
「ううん。わざわざありがとう」
「なんか欲しいものあった? 美織ちゃんから食べるのとか沢山あるから持ってこなくていいって言われてそのまま来ちゃったけど。欲しいのあるなら下のコンビニで何か買ってくるよ」
「ううん。来てくれるだけで十分だよ」
あんなことがあったから気まずいという気持ちは多少あったけど、それ以上に嬉しかった。
「どうなの? 体調?」
「うん。もう落ち着いてきたから、たぶん来週くらいには退院できるんじゃないかって」
「そっか。なら良かったけど。本当焦った」
と気が抜けたようだ。