ひとりだと思っていた君へ
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結局、ハローくんはお見舞いに来ると言ったのに顔を見せなかった。
何かあったのかメールをしてみたもののそれにも返信がない。
また喧嘩とか変なことに巻き込まれてなければいいけど――。
彼が約束を破る、無視をするなんてことは初めだし、何か気に障るようなことをして嫌われてしまったのだろうか。
携帯を見ながら溜め息を吐いた。
その日は、湖夏がお見舞いに行くと言っていたので待っているといつの間にか眠ってしまった。
「柚月ー! お見舞いに来たよ」
彼女の明るい声でまどろみから覚めた。
携帯で連絡はとっていたけど、実際に会うのとはまた違う。
彼女の元気や明るさにいつも支えられていたんだなと、ふと気がつく。
柚月が勧める間もなく椅子に座ると柚月の好きなチョコや駄菓子をサイドテーブルの上に広げる。
「どれ、食べる?」
「うーん。グミかな」
ほいっと手渡し、湖夏も棒のついた飴をほうばった。
「それにしても知らなかったから、本当にびっくりしたよ。心臓移植してたんだね」
「うん。術後の経過が良かったから、言わなかったんだけど。私も体調崩して、ちょっとびっくりした」
「私もびっくりだよー。最初、メールで心臓病って文字を見たとき、すごいドキドキしたんだからね。いや、生きてて良かったー」と抱きついた。喜びが広がる。