ひとりだと思っていた君へ

「わかりました。ありがとうございます」

受け取り、中を確認するとクリスマスのホワイトリースが入っていた。
白い松ぼっくりや花に、ゴールドのリボンが結ばれていて上品なデザインだ。

そういえば、ワークショップに参加できないことをお店に連絡していた。
ということは、もしかして保奈美さんだろうか。
楽しみにしていたことを覚えていて、わざわざ作って届けに来てくれたのかもしれない。
紙袋の底にカードが入っていて、思った通り保奈美さんの名前で体調への心遣いのメッセージが書かれていた。
胸の中にふわりと優しさが広がる。
手にとりまじまじと眺めているとその優しさをリースからも感じられる。

湖夏も柚月の手元を覗き込み、
「すっごい可愛いね」
「うん。本当に」
「どっか飾ろうか?」
「お願い」

色んなところに置いてみたものの結局、床頭台に立てかけておくことにした。
病室がまた明るくなり、リースの周りになんとなく天使が飛んで遊んでいるような気もした。
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