ひとりだと思っていた君へ
「そういえばハローくんとどうなの? その騒動があったところまでは聞いたけど」
うーんと唸ってしまう。
「入院してから何日かお見舞いに来てくれたんだけど、それから急に音信不通になって」
「え? なんで?」
「わかんない。最後にお見舞いに来てくれた日も普通に話してたんだけど」
やっぱりお見舞いに来てくれたのは、体調を崩したのは自分のせいだと思っての気持ちだけだったのかもしれない。元気になってきたから、もう大丈夫だろうと思ったのかもしれない。
それでも約束を破ったり、毎日のようにしていたメールでさえ返信が急にこなくなるのはおかしい。
それとも自分が思うほど、向こうは何も思っていないのかもしれない。
特別な感情を持っていたのは自分だけなのかもしれない。
悪いことを考えるときりがなくなってしまう。
「ふうん。そういえば渋くん、ハローくん喧嘩してどうのこうの言ってたな」
「え、喧嘩?」
「うん。詳しく知らないけど、学校帰りにまたそういうのあったって」
何も変わっていない彼の日常に、柚月の顔がまた一気に暗くなった。
「あ、あとさ。須長っちに告られたとか言ってたけど、あれどうしたの?」
「あ、考えてくれって言われて、まだ返事してないんだ」
「そうなんだ。もしかして心変わりとかしちゃった感じ? ハローくん意味わかんないしね。まあ冷静に話を聞いたら大体の女子は須長っちのこと選びそうだしね。うん」
「心変わりというか……」
正直、あれからもときどき時間を作ってお見舞いに来てくれる彼の優しさは心に染みていた。