ひとりだと思っていた君へ
中庭のベンチに腰をかけた。
日が当たると暖かいが、風が少し冷たくて
「さっむ」
と柚月は身を縮ませた。
「だから、言ったじゃん。やっぱり中に入ろう。また体調崩したら……」
「大丈夫。大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないでしょ」
「日にあたりたいから、お願い」
病室にいるとずっと窮屈だったから、外の空気を感じていたい。
仕方なくと言ったように、須長くんは自分の着ていたコートを柚月の肩にかけた。
「じゃあ、これ着て。着るならいいよ」
「寒くない?」
「大丈夫」
「ありがとう」
柚月はきっと宏くんなら、こうして我が儘を言っても、二人が納得の出来る形で実現してくれるんだろう。
そんな未来が想像できた。
そういう彼とのお付き合いだって、悪くない。
幸せだってあると思う。
現に今こうして肩を並べて話していられることも十分幸せだ。
だけどやっぱりハローくんと一緒にいるときに、内側に感じる温かさやドキドキした感覚、あれが柚月にとっての恋心のように感じる。
宏くんといるときと、やっぱり違うんだ。
だから――。
「宏くん、この前の告白のことだけど」
突然切り出され、目を丸くする。