ひとりだと思っていた君へ
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退院した翌日の放課後、保奈美さんにクリスマスリースのお礼を言いたかったので、柚月はお店に向かった。

「こんにちは」
「あ、柚月ちゃん」

作業する手を止めて、笑顔で駆け寄る。

「入院してたんだって? 春から聞いてたよ。良くなったんだね」
「はい、お陰様で。あの、ワークショップ参加できなくてごめんなさい」
「そんなの全然いいよ。気にしないで」
「あの……お花ありがとうございました」
「うん。春に珍しく頼み事されたからね。ちょっと頑張ってみちゃった」
と得意げに言うけど、頼まれたことが嬉しかったようだ。

「あとクリスマスリースもありがとうございました。病院までわざわざ持ってきてくれたみたいでびっくりしました」
「え? クリスマスリース? 私は持って行ってないけど」
「え、そうなんですか? でも保奈美さんのカードが入ってた」
「うん。私はカードを春にお願いしただけだよ」

柚月は意味がわからず、きょとんとする。
「だってあのクリスマスリース作ったの春だよ」
「えっ? どういうことですか?」
聞き返すと、困惑した様子で
「え? あの子、柚月ちゃんになんて言って渡したの?」
と尋ねられた。
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