ひとりだと思っていた君へ
もしかしたら私の中にいるのは、彼のお父さんなのかもしれない。違うのかもしれない。
それはわからないし、もうわからなくてもいい。
「命って繋がってるんだよ」
ハローくんが言った言葉を呟くと、胸の中に響き広がっていく感じがした。
この命が今あり、生かされているのは、臓器を提供してくれた人や普段何気なく口にしている食物や自然、先を生きてきた人の命だったりする。
笑ったり、恋をしたり、喜んだり、感情を味わい生きていられるのは、自分が知らないだけで沢山の命の犠牲があったからだ。
ずっとこうしてそういった命という愛が守ってくれていたんだ。
そんな気がしてくる。
「……ありがとう」
生きてることを否定されたと思っていたことも、孤独を感じることもすごく傲慢だった。
生かされてる限り、人は孤独になんてなれるはずはないのに、自分を否定するということは、守ってくれる愛そのものを否定することになる。
胸の中から感謝が溢れ出てくると、あの人がこう言ったからとか、あれが怖かった、淋しいとか、この記憶はなんなんだろうとか考えていたこと全てが遠ざかっていく気がした。
そっか。私は、本当の私はずっとただ感謝していたんだ。
感謝する日なんて決めなくても、ずっと感謝していたんだ。
違うものにばかり目を向けて感じられなくなっていただけで、ずっと感謝の心は胸の深く深く底に押し込まれても、ずっとあり続けていたんだ。
そう気づくと、今度は感謝の涙が溢れて止まらなくなった。