ひとりだと思っていた君へ
2

翌日、湖夏に昨日のことを報告した。

再会できるなんてすごいねと驚いたけど、「てかそれってさ、リアルに虐められてるんじゃない?」と顔をしかめた。

「い、虐め?」
「だってさ、普通お酒の瓶なんか投げられないでしょ。しかも白い学ランって附学(フガク)でしょ? すっごい不良高校じゃん。そんなところで虐められるって相当なことされてる気がするよ」
「でもほんわかして優しそうな子だったんだけどな」
「そういう子がつけこまれるんだよ。ターゲットにされやすいっていうか。不良から見たらカモなんじゃない」

確かに湖夏がいうように彼の高校は不良ばかりの学校だという話は聞いたことがある。
あんなことが日常茶飯事に起きているとしたら大変だろう。
彼も今こうして教室の中にいるのだろうか、いたとしたらどんな思いで机に向かっているんだろう。
想像すると、胸が塞がれた気分になる。

「柚月」と廊下から呼ばれた。

隣のクラスの須長宏臣(スナガヒロオミ)だ。

「宏くん、どうしたの?」
「ごめん。英和の辞書貸して」
「いいよ」
はいと手渡すと須長くんが「まだあそこのバイトしてんの? なんだっけ、芋屋」
と尋ねる。
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