ひとりだと思っていた君へ
「ココナのスイートポテトだよ。プレーンのだけど。
余ったの今日は持って帰ってもいいって言われたから。私、いつでも食べれるから」
「いいの? 本当に」
「うん」
「ありがとう。じゃあいただきます」と、かぶりついた。
「うん、おいしいね」
「良かった。って、口についてる」
指摘すると
「わ」
と慌てて指で拭うが逆だ。
「違う、右だよ」
「嘘」
「うん、取れた」
と伝えると至近距離で目が合うものだから、柚月は慌てて顔を背けた。
「あれ、何かした?」
「ううん。何でもない」
「あー、そういえば三分の三になっちゃったな」
と、呟く。
三分の三と言われ、一瞬何を言われているかわからなかったが、柚月から何かもらった回数だと気づき
「え? あ、そうだね。本当だ」
「このまま行くと四分の四になっちゃうかな?」
「はは。それ、悪いこと?」
「悪くはないね。むしろ幸せなこと」
「じゃあ、いいじゃん。あ、そういえばまだ期間限定のも売ってるから、今度持ってこようか?」
そう提案すると首を横に振った。
「今度、買いに行くね」
「えっ、本当に?」
「うん」