ひとりだと思っていた君へ

「文化祭って何するの?」
「文化祭は、模擬店とか出したり、ステージでダンスとか歌とか発表したりするんだよ。文化部は部活の発表とかしたりするかな。みんなで一緒に準備するから、文化祭当日もだけど、準備の時間も結構楽しいよ」
「ふうん。楽しいのかなー」

そんなものと言いたいような感じに見えた。ハローくんは冷めている。きっと学校行事だけではなく、学校というものに対してあまり特別な思い入れもないようだ。

「良かったら遊びに来る?」

柚月がつい誘ってしまったのも、そんな冷めた温度をくみ取ったせいだ。参加したことのないのにつまらないものだと最初から決めつけていては、わからない。それに他校の文化祭なら気兼ねなく来れるのではないだろうか。
言ってからおせっかいかと後悔する。

ハローくんは急に真面目な顔つきに変わる。

何か気の障ることを言ってしまったかと思ったが、「うん。考えてみる。ありがとう」と笑うから、どうやら思い過ごしのようだと安堵した。

ハローくんは携帯を差し出し、
「番号」
「え」
「わかんないと連絡できないもんね」
交換を促した。
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