ひとりだと思っていた君へ





「ただいま」とリビングの扉を開けるとママが顔を向けた。

「お帰り。今日、バイトの時間長かったね」
「ううん。バイト帰りに遊んできた。ママ、玄関に飾っていい? ハロウィンのガーランド可愛いの見つけて買ってきちゃったんだ」
「いいけど。バイト帰りに遊んでくるって珍しいわね。もしかして宏くんとデートとか?」
「え、なんで宏くん?」
「あら? 宏くんと付き合ってるんじゃなかったの? なんか今日雰囲気違うから、男の子と遊んできた感じがして」
と冷やかす。

普段あまりしないメイクのせいかもしれないが、ママの勘に柚月はギクリとする。

「宏くんと付き合ってないし、遊んでないよ」と否定する。

なぁんだと少し残念そうな顔をした。
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