ひとりだと思っていた君へ
「なんでがっかりしてるの」
「だって宏くん、すごく弟さん思いの優しい品のあるお兄ちゃんだったじゃない。ママ、柚月がお付き合いするならああいう子がいいなーと思ってたの」
ソファに寝転がってゲームをしていた美織が「ママ、そういうのうざいよ」と口を挟む。
「美織には聞いてませーん」
「はいはい。残念だけど、宏くんとは何もないからね。私も宏くんも友達だと思ってるよ」
「なぁんだ。でもママも会いたいなー、久しぶりに。今度家に連れておいでよ」
「え、それ本気で言ってるの?」
「うん」
「じゃあ来たいって言ったらね」
「よろしく。宏くんのママも元気かしらね」と思い出を見つめるように優しくママは呟いた。