ひとりだと思っていた君へ
柚月の通う平定高校は、創立50周年を過ぎている。趣のある校舎と、文武両道を掲げてきた伝統のある高校といっていいだろう。坊ちゃん嬢ちゃん高とも巷では言われているが柚月みたいに高等部から入学する一般家庭の生徒も少なくはない。
昨日から文化祭が始まり、二日目にあたる今日は一般も参加できるようになっていて昨日よりも賑わいを見せているようだった。
柚月のクラスではオブジェの展示だけなのでわりかし自由時間があった。
お昼を過ぎた頃に友達と行くとハローくんから連絡があり柚月は少しそわそわしていた。
そして友達という文字に少し安堵を覚えた。文化祭に参加したことがなくても、心を許せる友達がいるのは嬉しいことだ。
着いたと電話が来たので昇降口で待ち合わせをした。
向こうが二人だから、湖夏にも付き合ってもらうことにした。