BRST!


――――――――――――…

――――――――…


「ふう。」


肌に纏わりついた髪をバサ、と後ろに流して一息吐く。


地面には幾人もの人間が目を閉じ伏せている。女性の数も少なくないが、気絶してもらった。ナイフ等持っていたら後々面倒ですからね。


それにしても、やはりブーツで良かったかも。ピンヒールを履いていたら満足に蹴り技を決められなかったかもしれない。


「(昴くんは…、)」


先刻、彼が姿を消していった方向へと歩を進める。私に"石"を渡したことで戦闘に支障が生じなかったか心配だ。


その身で族を率いていたときチカラを使ってしまったのは私が拉致されたときくらいだから、元々の彼の実力も並はずれたもの。


まさか昴くんが負けるなんて思ってはいないけど、此処に居るのは何を考えているか分からない連中だ。もしかしたら物騒なものを所持しているかもしれない。

< 124 / 945 >

この作品をシェア

pagetop